僕がボイストレーニングに運動を加える意外な理由

「発声前に運動すると声が出しやすくなる」

これは多くの人が感じられる効果だと思います。

このことからも「準備運動が大切だ!」と発信しているボイトレの先生もいますよね。

僕も運動は発声においてとても重要だと考えています。

しかし

  • ある特定の場所をほぐしたから
  • あるいは鍛えたから

発声が大きく変わるとは思っていません。

もっと別の理由で運動が発声に貢献できると思うポイントがあります。

なかなかこの視点で運動と発声を組み合わせている人は見つかりません。

今日はそちらについて一部シェアしたいと思います。

40種類以上ある発声に関わる筋肉たち

発声には実に40種類もの筋肉が使われていると言われています。

中には声帯の筋肉以外に

  • 横隔膜
  • 僧帽筋上部
  • 広背筋
  • ハムストリング

などetc…

今まで声帯周りの筋肉にばかり目が向いていた人からすれば

え?それどこの筋肉?

と感じるマイナーな筋肉も発声に関与しています。

まず前提として発声筋であるこれら40種類の筋肉がしっかり働くことは言うまでもなく重要です。

しかし、超重要!だからといって、これらの筋を強くしていくような運動・筋トレをすれば発声もどんどん良くなっていくのか?というと答えはNoです。

発声のメインはあくまでも声帯周りの筋肉です。

誤解をしてほしくないのでもう一度書きますが、声帯筋を除く発声に関係する筋肉はどれも重要。

だけどやはり発声のメインは声帯周りの筋肉です。

どちらか一方だけが大切なのではなく、双方支え合いながら発声を作っていると考えればOKです。

筋骨格系を強化しても発声を繋がらなければ意味がない

僕は運動の専門家ですがスポーツに筋トレを導入する時

筋肉を大きくする=強くなる

この考え方は半分正解であり、半分間違いであると考えています。

体はそんな単純なものではなく

  1. 神経の発達も同時に行っているのか
  2. おこなうスポーツに活かす鍛え方ができているのか

このように自分のおこなうスポーツに活きるような鍛え方が重要です。

「歌も運動」と考えた時に、果たして腹筋を鍛えたからと言って発声が見違えるほど変わるのか、というとNoだと思います。

「歌には背筋が重要」だからといって背中をバッキバキに鍛えればいいのか?

これもNoですよね。

背筋群は発声に関与していることは確かなので、いくらか変化を起こせるかもしれませんが「見違えるほど」変化を起こすことは筋骨格系単体の強化では厳しいと思います。

もし筋肥大に伴い発声もどんどん良くなるのであれば、アスリートやスポーツやっている人はみんなとんでもない発声ができることになります。

ではなぜ運動をボイトレに取り入れるのか

みなさんボイトレはどんな理由で行いますか?

  • 高い声が出したいから
  • 地声を強化したい
  • フェイクやビブラートなど表現の幅を増やしたい

いろんな理由が各々あるとあると思いますが、一言でまとめるなら「喉の筋肉の発達・神経的な発達を成長させたい」ということだと思います。

「喉の筋肉・神経を発達」させた先に「高い声」や「力強い地声」が手に入るからですね。

では、なぜボイトレに運動を組み込んだほうがいいのか?

実はこの「神経の発達」において運動は大きく貢献してくれからです。

特にストレッチや筋トレなどの運動は「頭頂葉」の刺激に最適です。

頭頂葉とは…

大脳の部位の中でもちょうど頭のてっぺんになる部位です。

主に空間の把握や体性感覚を主な仕事として受け持っています。

発声とのつながり

いや、待ってくれ…

この頭頂葉と発声となんのつながりが…

そう思ってしまう人もいると思いますが、発声・発話もよくよく考えれば脳が使われています。

特に発話に関しては左脳の側頭葉がメインで使われることがわかっています。

歌に関しては左脳と合わせて右脳も使っているようで今も研究が進んでいます。

少し複雑のように感じてしまいますが、声を出すこと・うたうことも元をたどれば「脳」からの司令です。

  1. 脳でこんな音を作りたいとイメージ
  2. 発声・発話に関係する脳部位を通して筋肉に司令
  3. 発声できる
  4. 実際出した声が正しい・正しくないことをモニタリング
  5. 必要であれば修正

ついつい、発声!というと筋骨格系である「喉の筋肉」に真っ先に目がいきますがそもそも司令を出しているのは誰なのか?

ここも忘れてはいけませんね。

脳の問題は一部分で起こっていない

とはいえ、頭頂葉は発声と関係がないんじゃないの?とツッコミが入りそうですが、脳は常に互いのネットワークを確認しながら正常を保とうとしています。

運動不足により頭頂葉がうまく機能してない…となれば、他の脳部位も連携する時に良いフィードバックが返ってこないため「過活動」を起こしたり「抑制」されてしまうと言われています。

つまり、頭頂葉の問題は側頭葉やその他、運動をアウトプットする前頭葉、脳幹レベルまで影響を及ぼします。

脳をいい状態に保つには「問題ある部位」を活性化・もしくは抑制をしてバランスを取ることが必須。

「脳は運動で鍛える」という本も出ているように運動は各脳部位を狙って活性化したり抑制することができる方法です。

ボイトレといえど神経発達を促すために運動を取り入れない手はない。

僕はそう考えています。

神経発達を運動でサポートしよう

まとめになりますが、歌がうまくなるには神経発達も重要です。

運動は筋骨格系を増やすことによる出力の増加以外にも脳に刺激を与え神経発達を促す効果があります。

脳に元気がないままおこなう練習と脳が元気な状態でおこなう練習。

数ヶ月・数年単位で見た時にかなり差が開くことは間違いないです。

せっかくなら運動を取り入れて脳を元気にする。

その状態で発声に関する筋肉の強化・神経発達を促す。

そうすることで同じ1年間の修行でも結果に大きな差が出ると思います。

ということで運動おすすめです!

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